名古屋市中小企業情報センター  

IT活用アドバイザーQ&A

 企業のみなさまから寄せられたご質問にIT活用アドバイザーがお答えします。
第5回 「電子タグ(ICタグ)の製造現場への導入は進むか?」
 中小製造業において、電子タグは今後どんな活用方法が見込まれますか。(参考:第11回「電子タグ(ICタグ)の未来は?」)

●電子タグ(ICタグ)とは
 電子タグはインレット(ICチップとアンテナが一体となったもの)とリーダーライター用ICチップから構成されており、無線機能があるのでバーコードなどに比べ離れた場所からデータの読み書きができることから、今後、電子タグの普及は企業の競争力強化に貢献することが期待されています。現在、電子タグの実用化・普及が進んでいる分野は、企業内でリユースするクローズド(企業内、工程内)な分野であり、今後、企業間取引分野での電子タグの普及が鍵となってくるといえます。
 そのポイントは、電子タグの規格は国際標準でなければならないことと、そのためには商品コードと技術規格(通信プロトコル)の2つの重要な標準化が進まなければなりません。また、価格の低下が進むこともあげられます。現在は、数十円から数百円(性能により価格差があります)ですが、多くのユーザーが一個当たり5円ならば導入と回答しており、経済産業省の開発目標では、1年後までには価格を5円まで下げることと安定供給体制の構築を目指しています。

● クローズドな分野での電子タグの実用化
 クローズドな分野では次のような事例があり、効果を挙げています。
1 アパレル業界では店頭商品の棚卸しに時間がかかり、残業時間の増加が課題であるので、電子タグを商品につけることでハンガーにかかった商品や折りたたんだ商品でも容易に把握でき、その結果棚卸し時間の短縮を図ることができる。
2 物流センターでは、電子タグの利用により大きさの異なる荷物の読み取り効率がアップし、コンベアーのスピードアップが可能となり、仕分け効率が向上。
3 回転すし屋では精算業務を効率化するために、皿に電子タグを埋め込むことで金額の異なる皿を効率的に精算可能となり精算時間の短縮が可能に。
4 病院においてカルテ管理に電子タグを活用し、カルテの出入り管理が確実に。

●企業間をまたいだオープン(企業間)な分野での実証実験
 オープンな分野における電子タグの実用化は進んでいませんので、現在各分野でその実証実験が行なわれています。
1 電子タグを利用し、薬品や医療機器の院内物流を管理。こうしたものを納入時に電子タグを貼って内容物などのデータを書き込んでおき、医薬品を医師や薬剤師が取り扱うごとに処方データと照合することで、医療過誤を防止する仕組みをつくる。
2 メーカーから卸・小売までの一貫したSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)を実現させることで生産・進捗・在庫をリアルタイムに確認し、納品作業の効率化を図る。

●製造現場での実用化は進む
 電子タグの特徴として「データの書き換え」や「電源を内蔵し、電波の送信が可能」などがあります。この機能により、例えば加工する部品に電子タグをつけ、加工の記録や冶具管理あるいは生産実績などの情報を収集します。製品になってからも工程間移動や出荷などの実績履歴やその製品がいつどのような設備でどの作業者が加工したかがわかります。つまり、トレーサビリティ(商品・製品の追跡)が確実に行なわれるようになります。しかも、今後標準化が進めば、オープンな分野での実用化が進むので、協力企業を巻き込んでの加工の一元化が進むものと考えられます。合わせて、現在、各社が苦労している現品管理に基づく在庫管理や識別管理が容易になるものと考えられます。今後、中小企業にとっても関心を払わないでおくことは出来ない課題となってくると思われます。

IT活用アドバイザー 西垣 直哉 




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